貴金属投資入門

【貴金属相場】2025年の振り返りと2026年の予測

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2025年は、金・銀・プラチナなどの貴金属が、世界の経済ニュースの中でたびたび取り上げられた一年でした。値動きの背景には、国際情勢や金利の変化など、さまざまな要因がありました。
この記事では、そんな2025年の相場の流れを振り返り、2026年がどのような一年になるのか、ポイントを押さえて解説します。

1.金(Gold)

1-1.2025年の価格の動き

2025年の金は年初の約2,600ドルから史上高値を複数回更新し、10月に4,300ドルを超え、12月には4,500ドル台を試しました。年末は4,300〜4,500ドルの広いレンジで推移しました。

国内小売価格もドル建て相場の急伸を受けて強い上昇基調が続きました。年初13,500円前後でスタートしましたが、為替要因が重なったことで国内の上昇圧力はドル価格以上に強くなりました。春先から夏にかけて小幅な高値更新を繰り返し、10月には20,000円の大台に到達しました。その後もドル建て相場と円安がともに高水準を維持したことで、年末にかけて過去最高値圏を維持しながら推移しました。

上昇の主な理由ですが、まずトランプ大統領による追加関税政策の発表が上昇スピードを速めるきっかけとなりました。その後は世界の中央銀行による金購入が継続したことに加え、米国の利下げ再開でドル安の見方が強まったこと、イスラエルやウクライナ情勢などを受けて安全資産としての需要が強まったことが上昇の継続につながりました。これらに加え、個人投資家の金購入意欲が強まり、金ETFへの資金流入やバー・コインの購入量が増えたことが上昇をさらに強めることになりました。

ゴールド価格推移(USD/toz)
出典: Bloomberg
ゴールド価格推移(円/g)
出典: Bloomberg

1-2.2026年の予測

2026年は、米国の金利動向、インフレの動き、地政学の緊張度合い等に注目が集まります。一般に、金は利息を生まない資産のため、金利が下がりドルが弱くなると金には追い風、逆に利下げ期待が後退すると上値が重くなる傾向にあります。
中央銀行の金準備の継続的な積み増しは、中期的な下支えになりやすい一方、宝飾需要は高価格の影響で弱含みになりがちです。
また、地政学リスクが低下した場合は安全資産需要が弱まり、ETFから資金が流出する可能性があり、注意が必要です。

2.銀(Silver)

2-1.2025年の価格の動き

2025年の銀は金以上の上昇率となり、貴金属市場で最も動いた貴金属となりました。年初約29ドルから秋に50ドル付近へ、12月には60ドル台の新高値を記録。年末には80ドル超まで急騰し、最後は利食いで70ドル台へ調整するなど、ボラティリティが非常に高い一年でした。円建て価格も150円近辺であったものが年末には400円を上回りました。

背景は、これまで金と比べて割安感があったことと金価格が先行して上昇していたことから投資需要が増加したことに加え、太陽光(PV)や電子EVなどでの工業需要の強まりに対し、世界的な供給不足が重なったためです。鉱山生産の長期的減少に対し、リサイクル増でも不足を埋めきれない構造となっており、当面その傾向は続くとみられています。

銀価格推移(USD/toz)
出典: Bloomberg
銀価格推移(円/g)
出典: Bloomberg

2-2.2026年の予測

2026年は、米国の利下げペースに加え、PV・電子・EVの需要がどれだけ維持されるかがポイントです。銀は金と同様に金利動向の影響を強く受けます。一般的に、米国金利が下がりドルが弱くなる局面では、利息を生まない資産である銀には追い風が吹きます。

工業需要については先述の通り、太陽光(PV)や電子・EVなどでの需要が年々増加しており、中期的な上昇要因という見方もあります。一方で、価格が高すぎる場合、企業が銀の使用量を減らしたり、代替素材へ切り替えたりといった可能性があるため、急騰後の反落リスクに備えておく必要があります。

また、2026年は 中国の輸出管理強化や、米国の関税政策が銀市場に直接的な影響を及ぼす可能性があります。銀は工業用途で広く流通するため、こうした政策が発動されると、世界的な在庫調整や物流の混乱が生じやすく、短期的な価格の急変(急騰・急落)が起こりやすい環境となっております。

3.プラチナ(Platinum)

3-1.2025年の価格の動き

2025年のプラチナ相場は、際立った上昇を記録した一年となりました。年初には1,000ドル台以下で推移していたものの、12月には2008年以来となる2,000ドルの大台を突破し、年末には過去最高の2,300ドル超へ急騰。年初来+150%超の大幅高で、供給不足と在庫の地理的再配置が上昇を加速しました。円建て価格は、年初に4,600円近辺でスタートしましたが、年末には12,000円を上回るまで大きく上昇しております。

世界最大のプラチナ産出国である南アフリカの生産が伸び悩んでいることや、自動車触媒のリサイクルの鈍化で構造的な供給不足が続いている一方で、化学・ガラス・合成燃料・水素関連の工業需要が増加したことが上昇要因となっております。また金・銀の上昇に伴う、宝飾品や投資需要が伸びたことも一因となっております。これら加え、11月に中国の広州先物取引所でプラチナの取引がスタートし、それに伴う中国へのプラチナ輸入量が増えたことが上昇の勢いを強めることになりました。

プラチナ価格推移(USD/toz)
出典: Bloomberg
プラチナ価格推移(円/g)

3-2.2026年の予測

2026年は、最大産出国である南アフリカの供給回復度合い、水素バリューチェーン(PEM電解・燃料電池)の進展度合い、などがポイントとなります。WPIC (World  Platinum Investment Council)の最新見通しによると、2026年のプラチナ鉱山供給量は、前年比2% の増加が予測されています。リサイクル供給はプラチナ価格の上昇で廃触媒の処理と宝飾品のリサイクル量が増え、前年比で10% 前後の増加が見込まれています。これにより、一次供給、二次供給の双方で供給量が増える可能性があります。供給がやや増える一方で、工業需要の伸びがどの程度持続するかが、市場の方向性を左右する注目材料となります。また各国の輸出入政策や関税政策の緩和により、物流の歪みが解消された場合には、価格調整につながる可能性があります。

まとめ

  • 2026年の金は、米国の金利動向、インフレの動き、地政学の緊張度合い等に注目!
  • 2026年の銀は、米国の利下げペースに加え、PV・電子・EVの需要がどれだけ維持されるかがポイント。
  • 2026年のプラチナは、最大産出国である南アフリカの供給回復度合い、水素バリューチェーンの進展度合いを確認!